リウマチ科は、主に関節リウマチの患者様を対象にしています。関節リウマチとは、免疫異常(自己免疫反応)が引き金となって起こるわけですが、同反応によって自らが体の組織を攻撃するようになって、関節に腫れや痛みがみられるようになります。人間の関節というのは、全部で68カ所あり、そのすべてに発症する可能性はあるわけですが、その中でも手の指や手首の関節で起きやすいと言われています。上記以外にも、肩、膝、肘、足首、足の指、脊椎、股間といった関節でも発症することがあります。この症状が長引くようになると、関節にある軟骨や骨は破壊され、次第に関節も破壊、それによって関節が可動しなくなって、行動が制限されるなどして、日常生活にも支障をきたすようになります。
日本では、関節リウマチの患者様は60~100万人いると推定され、有病率は人口の0.6~1%程度と言われています。そのような割合であるものの、発症しやすい性別、年代としては、30~50代の女性が多く、女性と男性で患者数を比較すると女性の方が3~4倍多いです。そのため、女性ホルモンとの関係を指摘する声も上がりましたが、ただこれは直接的な原因ではなく、同ホルモンが免疫反応を促進させやすいサイトカインを活性化させやすくするので、それによって引き起こされるのではないかと考えられています。
主な症状に関してですが、先でも少し触れましたが、初期症状としては、朝の寝起きの際に関節がこわばるようになります。例えば、手を開こうとしてもこわばっていて思うように動かせない(ぎこちない)、手の指(主に第2、第3関節 など)に腫れや痛みがみられ、患部に熱を感じるということがあります。また右手の指の関節に腫れや痛みがあれば、右手の指と同じ部分の左手の指の関節に同様の症状がみられる(左右対称)という特徴もありますが、人によっては右ひざの関節だけ、片脚の小指の関節だけという「単関節型」のケースもあります。また関節リウマチと診断される場合は、全身の関節の3つ以上の部分に腫れの症状がみられ、その症状が1週間以上続いているということもあります。また関節だけでなく、倦怠感、微熱、食欲不振といった全身症状がみられるようになります。
検査について
上記のような症状から関節リウマチが疑われると診断をつけるための検査として、血液検査や画像検査をしていきます。血液検査は、血中に関節の炎症が考えられる成分が含まれているか、炎症があれば進行具合なども確認することができます。画像検査では、骨や軟骨の変形の程度、骨膜の炎症の状態を調べるために用いますが、この場合は、X線撮影、関節超音波検査などをしていきます。
治療について
関節リウマチの治療の目的は、寛解を目指すということになります。寛解とは、完治させるということではありませんが、関節リウマチによる症状が現れないようにする状態のこと(関節破壊を防ぐ)を言います。寛解に至る方法としては、薬物療法、リハビリテーション、手術療法があります。
基本的には薬物療法から始まるわけですが、主に使用するのは免疫抑制薬(メトトレキサート)ですが、副作用の症状も起きやすいので葉酸も併用して抑えるようにしていきます。それだけでは改善が困難という場合は、さらに生物学的製剤も用いるようにします。ただこれらによって体内の免疫力が弱まってしまうので、服用中は感染症に注意しながらの投与となります。また薬のみに頼って、痛みがあるからとずっと安静にした状態のままでは、身体的機能低下が生じるようになって、廃用症候群を招くこともあるので、関節可動域訓練や筋力増強訓練といった理学療法などによるリハビリテーションも併せて行っていきます。
また、関節リウマチの病状が進行して、骨や関節が破壊されている、薬物療法やリハビリテーションでは症状が改善しないという場合は、手術療法が適用されます。具体的には、破壊された関節を人工関節に入れ替えることで関節を動かしやすくする人工関節置換術(膝や股関節のほか、肘や手首、肩などにも対応。以前と比べると耐久性も向上)のほか、滑膜切除術(関節が炎症することで滑膜が増殖、これを放置すると骨や軟骨の破壊や関節変形につながるため、滑膜を切除する)、関節固定術(変形によって関節が不安定化し、それによる機能障害がみられる場合に関節を固定しても影響が少ないとされる、手関節、足関節、手指の関節に行われることが多い)などが行われます。